レヴィについて

ハルピュイアの師匠はある日アラハギーロの湖で溺れていた。
乾き切った死体と姪に宛てた手紙を残して。

海に焦がれた娘は村の奥に幽閉され、自由を失っていた。
ハルピュイアが見つけた時、暴れ回ったのか木片が散らばる中で指先もボロボロの状態で、その治療も受けていない状態だった。
海に行きたい、と呟く娘にハルピュイアは持参した薬を飲ませて自宅へ連れ帰った。
師匠によく似た面立ちに、ハルピュイアは苦虫を噛み潰した。

それから2年後。
ツンとした冷気の匂いと、入水を拒む厚い氷に覆われた湖に娘は想いを断ち切ることに成功していた。
薬の副作用で感情はあまり波立たないけれど、主人となったハルピュイアの可愛らしい恋は充分にレヴィの心を満たしていた。